福岡県筑後市の社会福祉法人 筑後市社会福祉協議会

「安心して本音を話せる環境」

ある青年の話です。彼の弟には重度障害があります。

 「家族のことは誰にも話さなかった。同級生・同僚などにも内緒にしていた。弟のことを話して変な空気になるのが嫌だった。しかし、話さないことで感じる自己嫌悪や、家族・同僚への後ろめたさなど、悶々とした気持ちがあった」。

 そして「本音を隠し続ける中では、100%の力を出せない自分を感じていた」とも。

 ところが、そんな彼から転職の報告を受けました。障害のある人の就労を支援する仕事でした。

 「面接の時点で、弟や家族のことを話した。すると、すぐに理解してくれた。自分のバックグラウンドをオープンにできるので、何も隠すことがない。そんな環境だから本当の自分の力が発揮できるように思う」と話してくれました。

 彼の決断にエールを送りたい。そして、安心して本音を話せる環境と、そんな環境に身を置くことが大事なのだと感じました。    (善)

「人生経験が支える力に」

 今回、インタビューをさせていただいた髙橋民生委員さんは、ご家族の介護のために一時期、民生委員の活動から外れていたことがあったそうです。

「介護をしている間は辛く、大変でした。でも、それまでは介護される高齢者にばかり目が行きがちでしたが、介護している方への声掛けも自然とできるようになりました」「仕事での経験や、介護の経験等、辛かったことも、自分の経験すべてが民生委員の活動で活かせることができたと思うと、辛かったこともいい経験だったと思う」と話が終わった。

社会福祉協議会には、いくつかの当事者団体があり、日々活動をしています。

その中では、誰かの「辛かった」経験が、誰かの今の「辛い」状況を考えている。

同じような経験をした人には特に気づかない痛みを、分かち合いやサポートに合うことができるのだと思います。

筑後市内には92名の民生委員および主任児童委員が活動しています。

これからもそれぞれに、積み重ねた人生経験があります。その一つ一つが民生委員の活動に生かされていると思うと、本当に心強いなと思いました。

(中)

「本当に良い人だった。私は幸せだった」

 夫を病気で亡くされた方が言われていました。

 余命宣告をされ、いつどうなってもおかしくない状況。「入院中の病院で、『家に帰りたい』と夫が言うので、その願いを叶えてあげたい」と相談があり、自宅で過ごすために、わずかながらのサポートさせてもらっていました。

 家に帰り、5日後に旅立ったそうです。

 ですが、「退院に合わせて、子どもたちも家に帰ってきた。最後の5日間は家族みんなが同じ部屋で一緒に寝た。最後の夜は、夫と同じ布団で一緒に寝た」「そして翌朝、静かに息を引き取った」と話されました。

 旅立つにはまだ若い年齢。だけど、人生の最期を愛する家族と一緒に過ごすことができた。ほんの僅かですが、そのお手伝いができたのなら良かったなと思います。

 そして、「本当にいい人だった。私は幸せだった」と思われるように、生きていきたい、とも思いました。

               (善)