福岡県筑後市の社会福祉法人 筑後市社会福祉協議会

「介護講座 2024」

「認知症の家族への対応に頭を悩ます」「介護で足腰を痛めてしまった」「自分の時間がなかなかとれない」など介護している家族の悩み・・。
そんな家族の悩みや気持ちを話し合い聴き合っているのが介護家族の会コスモスです。
本講座では介護の学習のみならず、家族自身がホッとできる場でありたいと考えています。
ぜひお気軽にご参加ください。

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「みんな支え合って暮らしている」

 高校生でヤングケアラーとなり不登校を経験した方の本を読みました。

 自死寸前まで追い込まれたこと、相談していいのか葛藤したこと、信頼できる先生に打ち明けたことが好転のきっかけとなったことなどが書かれていました。

 その本の中にこんな言葉も。

 「食べることも、生活することも、みんな誰かに助けられている。そう考えると助けてもらうことのハードルが低くなりませんか」と。

 数年前に、お金を払っているんだから「いただきます」は、言わなくていいという考えが話題になったことがありました。

 「いただきます」には、食材を作ったり、運んだり、時間という命をかけてくれた方への感謝の気持ちも込められています。

 忘れてしまいがちですが、みんな支え合って暮らしているのです。

 誰かに頼ったり、助けてもらうことが難しいときがあります。しかし、誰もが支え合って暮らしていると思うと、助けてもらうことは特別なことではないなと感じました。(実)

「困っていること以外の部分を見てみませんか?」

「資格取得のために行った実習先で『あなたが実習して何になるの?』と言われたことが、心に刺さっている」

 社会福祉士の有資格者の話です。

 この言葉が投げかけられたのは、彼には脳性麻痺という障害があり、車イスを利用しているから、でした。

 そんな彼は、障害者プロレス団体に所属し、何度もリングに上がっていました。また、旅行が趣味で、日本各地に赴いています。

 しかし「自分らしい生き方よりも、『障害者=困っている人』と見られることばかり。困っていること以外の姿を、世の中の人は見ようとしているだろうか?」と言われてしまいました。

 昨今、「地域共生社会」という言葉が多用されます。地域で共に生きる社会を目指すわけですから、ある時は支え、ある時は支えられるという、人と人の関係性が流動的であることが、自然な姿なのだろうと思います。

 そう考えると、前述の彼の次の言葉が、そのヒントになる気がします。

 「困っていること以外の部分を見てみませんか?」        (善)

「地域や人とつながりたい人は、実は多いのかも?」

 近所付き合いを若者は求めていない、という印象を持っていましたが、それを変える出来事がありました。

 先月、住んでいる地域で懇親会を兼ねて花見をしよう、と初めての計画をされました。しかし当日は雨。会場を屋内に変え、役員の方は「若い人はわざわざみんなで食べずに持ち帰るだろう」と、小さな部屋を用意。ところが実際には、多くの方が懇親会への参加を希望したのです。

 子どもたちは、毎日見守りをしてくれる地域の方にお礼と自己紹介をしたり、仲良く走り回ったり、大人もお互いに交流や情報交換をしたりと、賑やかなひと時になりました。

 参加者のほとんどはコロナ禍に引っ越してきた世帯でした。話してみると共通して、「話したいと思っていたけど、ためらっていた」「近所にいても顔を合わせるきっかけもなかったので、こうしてつながれて嬉しい」という言葉が聞かれました。

 人との接触が制限され、当たり前につながることができない経験をしてきました。その中でその大切さを再認識し、地域や人とつながりたい、と思っている人も増えたのかもしれない、と感じています。  (喜)

「安心できる居場所」

 記事にもあるひとり親のためのくらし応援講座では、心の動揺を減らすために「協働調整」の大切さも話されました。「協働調整」とは、同じことで悩むグループなど、安心する人との関わりの中で心が安定するというものです。

 筑後市母子寡婦福祉会(以下、母子会)では、ひとり親の皆さんと、かつてひとり親だった寡婦の皆さんでイベントや講座を通して交流し、悩みを共有したりしています。

 会員の方からは、「話してみて自分だけじゃないと知って楽になった」「寡婦の皆さんが悩みを乗り越え、明るく過ごしているのを見て前向きになれた」といった声を聞きます。

 母子会の皆さんだけでなく、生きていく中で落ち込んだり、悩むことがあります。「協働調整」によって、気持ちがラクになったり、元気をもらったりします。自分だけで、どうにかしようと考えるのではなく、安心できる居場所で、誰もがいつでも助け、支え合える関係をつくれたらいいなと改めて思いました。 (実)