福岡県筑後市の社会福祉法人 筑後市社会福祉協議会

「今の自分のままでいい、と思えること」

「『○○くんのお姉ちゃん』と言われ、私の名前は呼ばれない」

「療育機関に行くと、皆私を通り過ぎて、弟の方へ行く」

「私は弟の付属品なの!?」

障害のある人のきょうだいたちの声です。わずかながらですが、きょうだい支援に関わり、これまで、そんな話はたくさんお聴きしてきました。

だからでしょうか。

「弟が不登校になった時、先生に『何で弟は学校に来ないんだ?お前は家族だろう?』と言われたんですよね」という話が気になってしまって。

不登校の子が心配なのも分かるのですが、先生の目の前にいる生徒も一人の子ども。この子はどんな気持ちになっただろう‥。

考えてみると、「きょうだい支援」の存在が、知られていないから、こうした出来事が起こるのかもしれない。

現に、福祉職の人と話す中でも、「きょうだい支援って何ですか?」と尋ねられる場面が多々あります。

あるきょうだい児は「支援者ではなく理解者がほしい」と言いました。この言葉はとても重く、そして的を射ているのではないか。そう思うのは私だけでしょうか?        (善)

障害者の福祉

 障害とは何か。それは機能的な疾病としての障害ではなく、多様性に対応しきれていない社会の側にあるという社会モデルの考え方がWHOから発表されて20年以上が経過します。本人を中心とした周りの関わりや地域・社会のありようによって、その本人が生きやすいものになることも、逆にそうではなくなることもあるという考え方です。
 社協の障害者福祉の取り組みでも、障害のある本人や家族へのサポートとともに、その人たちが暮らす地域社会(社会環境)にも着目し、啓発の取り組みや当事者やその家族を支える仕組みの構築を重要なポイントとしています。

主な活動
●  障害者相談支援事業「ちくたくネット」
● 「筑後市障害者協議会」との連携・支援
●  知的障害・発達障害の疑似体験プログラムを行う「啓発キャラバン隊」との連携・支援
●  知的障害のある子の親の会である「筑後市手をつなぐ育成会」との連携・支援
●  障害のある人の兄弟姉妹の会である「ふくおか・筑後きょうだい会」との連携・支援
● 「ひまわりのつどい(精神障害のある人と家族のつどい)」の開催
●  精神障害の当事者が集まり、交流や情報交換を行う「かたる~む」の運営
● 「NPO法人自立生活センターちくご」との連携・協力
● 「ちっご聴覚障害者協会」との連携・協力。
● 「福岡言友会」との連携
●  新たな当事者団体の組織化
●  ボランティアグループへの支援・組織化
●  日常生活自立支援事業
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「今の自分のままでいい、と思えること」

 最近の「かたる~む」には、毎回3,4名の方が来られています。皆さん精神面に何らかの不調を抱える人たちです。

 仕事している人、子育てや介護をしている人、調子を崩して退職した人、最近精神科に通い始めた人…。様々な立場の人が集まり、たわいない出来事を話したり、悩み事を他の人に相談したり、ただ皆さんの会話を聞いたりと、思い思いにゆったり過ごされています。

 以前参加された方は「ここに来ると、焦らず自分のペースでいいんだと思える」と話されました。精神的な障害を持ちながら生活する中では、周囲との差や以前の自分との違いに悩み、「前進しなければ」「良かった時の状態に戻らなければ」と焦り、生きにくさを抱える人も多いようです。

 生きやすくなるためには、変わらなければと頑張るだけではなく、居場所や人との出会いによって、今の自分のままでいい、と思える瞬間が大切なのかもしれません。時には休息しに立ち寄ってみませんか?            (喜)

「寄り添い続けること」

 先日ある写真家の写真展へ行きました。彼女は、12年間、毎月11日の月命日に東北へ向かっています。

 13回忌となった今年、出版した写真集のインタビューで「あれほどのこと、乗り越えられない。乗り越えるのではなく抱きしめる。そんな気持ちで通っている」と語っています。

 また、その写真家を知るきっかけとなった福島県出身のシンガーソングライター。彼女もまた福島をはじめ、熊本の南阿蘇などでのボランティア活動を行なっています。

 「自分にできることがなくて、ボランティア活動に参加するのが怖くなったこともあった。でも、沢山の地域の人と出会い自分自身が元気をもらっていることに気づいた。一緒にこたつに入ってお酒を呑んで…今はその人たちに会いに行っている」と、ライブのMCで語っていました。

 当事者でないと分からない気持ち。それでも、直接会って、見て想像する。震災だけでなく、誰もが生きやすいまちづくりには大切なことだと思います。当事者でなくても寄り添い続けることはできる…、2人の言葉に改めて気づかされました。(実)

「言葉を合わせる作業」

 近所のスーパーにて。小学生の娘たちが「ジュースを買いたい!」と言うので、店内で別行動になりました。

 そして数分後。ジュースコーナーへ行ってみると・・。

 娘たちと高齢の女性が、双方で困った顔してる!そして、娘たちは黙り込んでいる!

 話を聞けば、子どもだけで買い物に来ていると思ったらしく、心配して声をかけてくださったようでした。

 「気にしていただき、ありがとうございます」とお礼を言い、この女性と別れた後、娘たちに「なぜ黙ってたの?」と尋ねると、「何をしゃべってるか分からなかった」と。

 それを聞いてハッとする。

 仮に本当にトラブルがあり、声をかけてもらっても、何しゃべってるか分からない、ということ?

 我が家は夫婦とも県外出身。筑後の方言は、子どもにとって馴染みのない言葉です。加えて、世代によって言葉が違うのも当然です。

 だから多世代交流や移住者交流が大事なのか、と感じた瞬間でした。

 言葉を合わせる作業が支え合いの土壌になっていく。そんなことを学んだ出来事でした。        (善)