福岡県筑後市の社会福祉法人 筑後市社会福祉協議会

「相手の気持ちを想像すること」

 敬老の日は過ぎていましたが、緊急事態宣言が明け、県内に住む祖母に会いに行きました。祖母は私にとっては書道の先生でもあり、厳しい一面もありました。

 そんな祖母も90歳を超え、認知症が進み10分前のことも忘れてしまいます。ダメージジーンズを履いていた私に「あんた、そげん穴の開いたズボンば履いてから!恥ずかしか。ふさいじゃろうごた」と言い、私と同居する家族も笑いながら「いいと。こういうズボンとよ」のやり取りを何度も繰り返しました。

 少々大変でしたが、数か月前に、一時入院していたとは思えない祖母の元気の良さに嬉しい気持ちでした。

 こうして祖母が明るく暮らしているのは、認知症がよく知られるようになり、同居する家族にも理解があるからです。

 周りの理解があれば、生きづらさを感じずに暮らせる方が多くいます。見えているところだけで判断せずに、相手のことを理解しようとする気持ちと、相手の気持ちを想像できることが大切なのでは…と改めて感じました。  (実)

「コロナ禍就職世代」

 大学生だった頃の思い出と言えば、大学での勉強やゼミ生同士での議論。友人と飲み明かしたり、サークル活動にアルバイト。様々なボランティア活動や音楽活動等々。そうした中で、様々な人間関係を経験するとともに、社会体験も積み、社会に出る準備をしていたのだろうと思い出されます。

 そんな青春時代を送ったという人は、少なくないと思います。

 ところが、今の大学生はそのようなことができないようで・・。

 コロナ禍により大学に通うことができず、自宅でのオンライン授業。友人づくりもできない。飲み会などはNGで、サークル活動もない。アルバイトも思うようにできず、人間関係にもまれる機会も、社会体験も少ない。

 そして数年後には社会人として厳しい世界に放り出される。結果、様々な生きづらさに直面する若者が増えるのではないか…と思ったりします。

 ここ数年、「就職氷河期世代」への支援が着目されています。同様に、近い将来「コロナ禍就職世代」への支援が必要になるのかもしれない。

 ともかくは、直面するかもしれない生きづらさは、自己責任ではないことを認識しておきたいものです。  (善)

「その人らしい生き方を応援できるように」

 精神障害のある人や家族が参加する「ひまわりのつどい」というグループで、今後どういう活動をしたいか、参加者同士で話し合いました。
 私が予測していた意見は、「今困っていることを解決するための情報を得たい」「他の人がどうやって解決しているか聞きたい」といったもの…。
 しかし、ある方が「みんなで楽しいことがしたい。お茶会や、レクリエーションはどう?」と提案。その方も、精神障害のある息子さんのことでかなり悩んでおられました。一方で聞かれたポジティブな言葉。私は新鮮な感覚を覚えました。
 私には、「問題を抱えている人」としか見えておらず、その人が持つポジティブさなどのプラス面を見落していたことに気付かされました。
 課題をなくすことだけが大切ではなく、たとえ悩みや課題があっても、その人らしさを失わずにいきいきと生活していけることが大切ではないでしょうか。
 そのためには、相手が持つプラス面にも目を向け、それをもっと充実できるような周囲の関わりが必要では…と思いました。     (喜)

「 ”誰にも話せんけん” 明るい表情に良かったなと思う」

昨年3月に始まったコロナ特例貸付。筑後市では、今年6月末時点で延べ432件の申請と1394件の相談対応を行ってきました。

新型コロナの影響で失業または収入が減少した方を対象とした今回の貸付。

3か月の貸付を行う総合支援資金の申請にあたっては「(初回の申請で)3か月しか支援出来ないので、その間に生活を立て直していただかないといけません」とお話し、自立に向けた計画を立てていただくようにしています。

それでも3か月後に、やっぱり苦しいと相談に来られる方も多く、支援といいながら借金を増やしていくことに心苦しくなる場面も多くありました。

 ただ、相談を受ける中で、病気や介護、家族の悩みなどを「こんなことまで聞いてもらってありがとう」「誰にも話せんけん」と言われながら話される方もいらっしゃいます。

 話をする中で別の課題が見えて他の支援に繋がるなどして、来られた時より明るい表情で帰られる方をみると直接面談でお話を聞けて良かったかなと感じています。 (実)