福岡県筑後市の社会福祉法人 筑後市社会福祉協議会

「 ”誰にも話せんけん” 明るい表情に良かったなと思う」

昨年3月に始まったコロナ特例貸付。筑後市では、今年6月末時点で延べ432件の申請と1394件の相談対応を行ってきました。

新型コロナの影響で失業または収入が減少した方を対象とした今回の貸付。

3か月の貸付を行う総合支援資金の申請にあたっては「(初回の申請で)3か月しか支援出来ないので、その間に生活を立て直していただかないといけません」とお話し、自立に向けた計画を立てていただくようにしています。

それでも3か月後に、やっぱり苦しいと相談に来られる方も多く、支援といいながら借金を増やしていくことに心苦しくなる場面も多くありました。

 ただ、相談を受ける中で、病気や介護、家族の悩みなどを「こんなことまで聞いてもらってありがとう」「誰にも話せんけん」と言われながら話される方もいらっしゃいます。

 話をする中で別の課題が見えて他の支援に繋がるなどして、来られた時より明るい表情で帰られる方をみると直接面談でお話を聞けて良かったかなと感じています。 (実)

「弱さを認める強さ」

 長年お世話になっていたKさんが永眠されました。末期がんでした。

 Kさんには視覚障害があり、小学校での福祉教育のゲスト講師として、優しく子どもたちに語りかけてくださいました。

 この活動を、「見えないことは不便だけど不幸ではない。色々なことにチャレンジして、お互いしっかり生きていこう。そんなことを子どもたちに伝えたい」と話しておられました。

 一方で、代筆やゴミ出しなどを周囲に頼まれたり、パソコンの扱い方などを尋ねに来られました。明るい性格の持ち主で、「ちょっと手伝ってほしいことがあるんだけど」と声をかけられたものです。そして、闘病中には終活も進められ、「協力してほしい」とお願いされたりもしました。

 それは、まさに「自立した姿」に見えました。自分の弱さを認め、他者を頼りながら支え合って生きる姿こそ、自立なのだろうと思います。

 最後は「医療に役立ててほしい」という生前の希望通り、献体としてご自身の体を提供されました。

 弱さを認める強さを、Kさんに学びました。出会えて感謝です。いってらっしゃい、Kさん。合掌。    (善)

「思いを馳せる」

 「ドクターヘリが飛んでるよ!」喜ぶ息子の声で空を見上げると、救急医療用のヘリコプターが飛んでいました。

 しばらく見ていると、病院の屋上に降り立ちました。そしてすぐにスタッフらしき人影が現れ、慌ただしく動いているようでした。

 様子を見守っていた息子。初めは興奮気味だったものの、次第に何かを感じ取ったように静まっていました。そして、「大丈夫だったかなぁ」とつぶやきました。

 子どもながらに、あのヘリの中には、大けがした人や病気で苦しむ人、その人を助けようと働く人がいたのだと気づき、その人たちのことを案じていたようです。

 また、毎日発表される新型コロナウイルスの感染者数。数字だけに気をとられ、一人ひとりにまでは考えが及ばなくなりがちでは…。しかしその人たちもそれぞれに背景を持って暮らしている「人」なのです。

 普段の生活の中でも、辛い気持ちでいる人や困難な状況にある人へ『思いをはせる』ということは、人として大切なことだと思っています。   (喜)

「ボランティア活動始めてみませんか?」

 ボランティア活動をしたことはありますか?令和元年子ども若者白書には、ボランティア活動に興味があると答えた日本の若者の割合は、諸外国に比べて低いという結果があります。どんなボランティア活動があるのか知らない、始め方が分からない方も多いのかもしれません。

 私が初めてボランティア活動をしたのは、地元を離れ県外に就職していた時です。通信教育で保育士の資格を取得してすぐのことでした。実技試験のために通っていたピアノの先生に保育施設を紹介してもらったのがきっかけです。

 それまで子どもと実際に関わる経験が少なかったので勉強になっただけではなく、出会いが広がり、職場以外に地域の人と関わる居場所ができたことが嬉しかったのを覚えています。

 今回取材したこどもcafeをはじめ、筑後市にもいくつかボランティア団体があります。「役に立ちたい」「楽しく何かをしたい」動機はなんでもいいと思います。ボランティア活動始めてみませんか?(実)

「もし認知症になったらどのように支援してほしい?」

 「もし認知症になったらどのように支援してほしい?」仲間内でこんなことが話題になりました。

 ある人は「支援していることを感じさせないでほしい」と言いました。「たまには競馬に連れていってほしい」「みんなで酒でも飲めたら最高!」という人たちも。

 このように当事者の立場で考えると、ハッとすることがあるもので…。

 認知症になった時、「以前、こんな希望を言っていたなぁ」と思い出してくれる人がいることの素晴らしさ。

 福祉はその人の幸せを追求すること。困っているから助けるという一面的なものではない。「私はこうありたい」という願い・希望を叶えようとすることの意義深さ。

 つい支援者側だけで支援を考えてしまいがちですが、決めるのは本人であるという基本的な視点。

 認知症に限らず、福祉のことを考えるとき、当事者を対象者化してしまいがちですが、「もし自分だったら?」を考える時間は大切だと思いました。

 「もし認知症になったら、どのように支援してほしい?」身近な人と話してみてはいかがでしょうか。 (善)

「心の鬼を退治しよう」

 今年の2月2日は節分で、恵方は「南南東」でした。
2月3日が定例と思っていましたが、節分とは「鬼を追い払って新年を迎える、立春の前日の行事」のことで3日とは限らず、2日になったのは124年ぶりだそうです。
 豆まきは「鬼を打ち払う・豆を投げ与えて恵み、静まってもらう」意味があり、「福は内」で豆を投げた場所が清められ聖域になるという風習だそうです。我が家も豆まきをしましたが、日頃からガミガミ言っているからか、「おかあさんが鬼ね」と鬼に選抜され、少し反省した一日となりました。
 昨年からの新型コロナウイルスの影響で、私達の日常は大きく変化してきています。豆まきで色んな鬼や災いが去って、「福は内」で福が舞い込むことを願うばかりです。
 私の子は、保育園の豆まきで「心の鬼を退治しよう」と豆まきをしてきたようです。気の持ちようかもしれませんが、豆まき効果で色々な災いや心の鬼が去り、「福」が舞い込む日を心待ちにしています。 (宏)

「地域みんなで見守り合う」

 先日、『「好き」や「得意」が誰かの役に立つ三方両得のまちづくり』をテーマに地域ふくしセミナーが開催されました。個人の困りごとを地域でまとめて話し合って解決方法を探し、一人ひとりが出来ることを少しずつ行う。そんなまちづくりを目指していますというお話でした。

 セミナーのお話を聞きながら学生時代に瀬戸内の小さな島を訪ねたことを思い出しました。一泊二日で島の人と交流し、島の料理を教えて貰いました。美味しい料理や島の暮らしを学ぶ中で感じたのは人の繋がりの強さです。 

 家の鍵は、留守の時でも誰も閉めません。家を出れば誰かに声を掛けられ、一人暮らしの高齢者の家にも、毎日必ず誰かが島で採れた食材や手料理を持って訪ねます。

 島の暮らしとは環境など違うことも多いですが、誰か一人が見守るのではなく地域のみんなでお互いに見守り合う…。一人ひとりのちょっとした心がけが、過ごしやすいまちづくりに繋がるのかもしれません。 (実)

「子どもを育むヒント・魅力的な大人になるヒント」

「大人のダメな一面も見せてほしかった」

本号でも掲載した主任児童委員の研修会で、不登校経験者が話されました。

「学校に行けない、何で私はできないの?と思ってしまう。そんなネガティブな感情を、完璧に見える人に話すのは勇気がいる。むしろ、相手のダメなところが分かると、話しやすくなる」

「当時学校の先生からは『頑張りなさい』『このままじゃ素敵な大人になれないよ」と言われていた。でも、『大人になってからもできないことはあるよ』と大きな器で接してほしい」と話は続きました。

確かに、大人のダメなところを見せると、子どもは少しホッとするかもしれない。本心を話すハードルが下がるかもしれない。「助けて」と言える力、「受援力」が育まれるかもしれない。

そして、自分の弱さやダメなところを見せてくれる人は、人間味があふれ魅力的に見える。

冒頭の言葉は、地域や家庭で子どもを育むヒントでもあり、魅力的な大人になるヒントでもあるのかもしれませんね。            (善)

「身近な相談場所として」

 先日、介護家族の会「コスモス」の介護講座で、管理調剤士さんにお薬についての講座をしていただきました。 

 調剤薬局と言えば、病院受診後に処方箋をもらい、薬をもらう所としての認識を持っている人が多いのではないのでしょうか。高齢になると内科、眼科、外科など複数の病院にかかり、それぞれに処方箋をもらってお薬をわけて飲むのは介護する側も、服薬される側も大変です。しかし、近所のかかりつけ医で、処方箋をまとめてお薬を渡してもらうことも可能とのこと。

 日本では、高齢者の薬の飲み残しが年間500億個あるそうです。次世代への負の遺産とならぬよう、服薬を辞める勇気や主治医や薬剤師に相談し薬を調整していくことも必要と言われてありました。 

 かかりつけ医と同様に、かかりつけ薬局を見つけ、日頃から健康相談をできる場として活用したり、自宅にお薬を届けるサービスもあるとのことです。

 今や調剤薬局はガソリンスタンドより多く存在するそうです。身近な相談場所が近くに増えるのは、地域にとって心強い味方ですね。 (宏)

「お互いを想い合っていければ」

 先日、初めて福祉教育に小学校へ行きました。車イス生活を送る方の話を真剣に聞いて、沢山の質問をする児童の皆さんたちの様子をみて、私自身も小学生の時に、特別支援学校やその卒業生の共同作業所へ交流に行ったことを思い出しました。

 その当時、総合の授業で、「差別はいけません。みんな平等です。障害のある方も、自分で出来ることは自分でします。困っていたら手助けをしましょう…」と学習していました。実際に障害のある方を目の前にして緊張してどう接するのが正しいのか考えすぎて分からなくなっていたような気がします。

 20年近く経った今ようやく、仕事でいろいろな方と接する中で、特別何かを「しないといけない、してはいけない」と考える必要はないのだと感じるようになりました。お互いを想い合って関わっていければいいな…と。

 今回の福祉教育が、これから沢山の経験をしていく児童の皆さんにとって、何か感じるきっかけとなれば…という想いでこれからも続けていきたいです。(実)