福岡県筑後市の社会福祉法人 筑後市社会福祉協議会

バイトテロに見る格差社会

わざとゴミ箱に魚を放り入れ、それをまな板に載せて調理する。そして、その様子を映像にしてSNSに掲載する。
2月にそんな映像がマスコミで取り上げられ、直後から「バイトテロ」として話題となり、その他飲食店やコンビニでの同様の事例が多数報道されました。

確かに、店内の裏であんなことが行われていると不衛生ですし、不愉快です。

アルバイト店員の行動はあってはならないことです。企業はそのアルバイト店員に法的措置も検討しているそうです。

ただ、今回の報道で見え隠れするのは、夜間の営業や飲食店の厨房が、少数のアルバイト店員のみで行われているという点です。

つまり、正職員などの責任者がいない職場だったということ。そんな労働環境が果たして健全なのだろうか、と。

消費者は「なるべく安く買おう」とするわけですが、それが「安上がりな労働力」によって成り立っているという事実が垣間見えるようです。

「格差社会」「子ども・若者の貧困」という言葉が珍しくなくなった時代。それを生み出しているものが、私たちのすぐ側にあるような気がしましたし、自己責任論だけではいけないなと思いました。                (善)

力を発揮できる環境

高齢者や障害のある方のちょっとした困りごとのお手伝いをする「もえもんサービス」。毎月、数件のお宅で草取りやゴミ出しなどを行います。

ひきこもりだった青年が、頻繁に作業を手伝ってくれています。

メンバーの中で一番若手の彼に、経験豊富なAさんが作業のアドバイスを送ります。彼もそれに応えようと、汗をかきながら一生懸命、作業をします。そして休憩中は他愛もない会話を交わし、笑顔も見られます。作業が終わると家主の方は「本当に助かりました」と感謝されます。彼が不在のときは「今日は○○くん来てないね」とAさんも寂しそうです。

彼の力が必要とされていて、彼が来るのを待っている人がいます。ひきこもり経験のある人は「支援が必要」と考えられがちかもしれません。しかし、必要なのは力を発揮できる環境と、そこで待つ人との交わりなのではないかと感じます。

隠れた力を持つ人はまだ多いはず。枠にはまった「仕事」ではなく、それを柔軟に発揮できる環境が求められているのかもしれません。(拓)

様々な家族への思い

12月に、「きょうだい」をテーマにしたテレビ番組が放送されました。

「きょうだい」とは、障害のある人の兄弟姉妹のことを指す言葉。筑後市では「ふくおか・筑後きょうだい会」が、きょうだい同士の交流活動を進めています。

番組放送に先立ち、「とうとう、きょうだいにスポットライトが当たりますね」と会員に話したところ、数人の会員がこのように言われました。

「1つの事例の紹介で、全てのきょうだいが同じように思っているとは、捉えてほしくない」
「家族のことを『嫌い』と言えない雰囲気がある。『嫌い』という感情があっても良い、とも伝えてほしい。家族だから仲が良い、という
勝手な家族像をつくらないでほしい」
「番組に興味はあるけど、家族と一緒には見づらい。家族だからこそ言えないこと、知られたくない感情がある」
「家族とはこうあるべき」という自他からのプレッシャーを受けながらも、そんな心の内を誰にも言えない―。
「いない」のではなく「言えない」。きょうだいに限らず、そんな思いを抱えている人は、案外近くに、そして、たくさんいるのかもしれません。(善)