力を発揮できる環境

高齢者や障害のある方のちょっとした困りごとのお手伝いをする「もえもんサービス」。毎月、数件のお宅で草取りやゴミ出しなどを行います。

ひきこもりだった青年が、頻繁に作業を手伝ってくれています。

メンバーの中で一番若手の彼に、経験豊富なAさんが作業のアドバイスを送ります。彼もそれに応えようと、汗をかきながら一生懸命、作業をします。そして休憩中は他愛もない会話を交わし、笑顔も見られます。作業が終わると家主の方は「本当に助かりました」と感謝されます。彼が不在のときは「今日は○○くん来てないね」とAさんも寂しそうです。

彼の力が必要とされていて、彼が来るのを待っている人がいます。ひきこもり経験のある人は「支援が必要」と考えられがちかもしれません。しかし、必要なのは力を発揮できる環境と、そこで待つ人との交わりなのではないかと感じます。

隠れた力を持つ人はまだ多いはず。枠にはまった「仕事」ではなく、それを柔軟に発揮できる環境が求められているのかもしれません。(拓)

様々な家族への思い

12月に、「きょうだい」をテーマにしたテレビ番組が放送されました。

「きょうだい」とは、障害のある人の兄弟姉妹のことを指す言葉。筑後市では「ふくおか・筑後きょうだい会」が、きょうだい同士の交流活動を進めています。

番組放送に先立ち、「とうとう、きょうだいにスポットライトが当たりますね」と会員に話したところ、数人の会員がこのように言われました。

「1つの事例の紹介で、全てのきょうだいが同じように思っているとは、捉えてほしくない」
「家族のことを『嫌い』と言えない雰囲気がある。『嫌い』という感情があっても良い、とも伝えてほしい。家族だから仲が良い、という
勝手な家族像をつくらないでほしい」
「番組に興味はあるけど、家族と一緒には見づらい。家族だからこそ言えないこと、知られたくない感情がある」
「家族とはこうあるべき」という自他からのプレッシャーを受けながらも、そんな心の内を誰にも言えない―。
「いない」のではなく「言えない」。きょうだいに限らず、そんな思いを抱えている人は、案外近くに、そして、たくさんいるのかもしれません。(善)

言葉に耳を傾けて…

「何にもしてないとは思われたくないなぁ」

ふらっとスペースには、不登校の子どもが遊びに来ることがあります。最初は緊張で口数の少ない子も、会場の雰囲気に慣れてくると表情も明るくなり、笑顔も見られます。

そして、学校に行か(け)なくなった理由。進学のことやこれからの悩み。また、同級生に遅れないように自宅で勉強を頑張っていること…。ポツリポツリと語ってくれます。

そんな中、ある子が冒頭の言葉をつぶやきました。学校を休んで何もしていない、怠けていると思われるのは嫌なのだと教えてくれました。

彼らの話を聞いていると、人一倍考え、葛藤し、悩み抜いた上で「学校へ行かない」という選択をしているのだと気付かされます。
学校へ行か(け)ない理由は人それぞれ。そこにある悩みや不安はすぐに解消できるものではないかも知れません。しかし、まずは彼らがゆっくりと思いを語ることのできる経験、そしてそれに耳を傾ける人の存在が必要なのかもしれません。       
(拓)